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[モンゴル]赤い食べ物と白い食べ物【データ栄養学のすすめ】

佐々木敏のデータ栄養学のすすめ
第1章プロローグ「[モンゴル]赤い食べ物と白い食べ物」より


ゴビ砂漠の遊牧民が極寒の冬を乗り切るためには大量のエネルギーが必要であり、かつ体力のない家畜は冬を越せない。
そのため、家畜は秋の終わりに処分され、冬の間の食料となる。モンゴルの人々は肉類のことを「赤い食べ物」と表現する。

秋までのモンゴルでは、チーズ、クリーム、馬乳酒といった乳製品が栄養源となる。これらを現地の人々は「白い食べ物」と呼ぶ。
6月から7月にかけて1人の遊牧民男性の食事を調べた結果によると、全エネルギーの半分が乳製品からだった。しかもその多くが馬乳酒だったという。

ゴビ遊牧民は、家畜とその乳という限られた食材を実に巧みに利用している。
馬乳酒は牛乳よりも脂質が少なく水分が多いため、さらっとして飲みやすい。
ビタミンCが牛乳より多いのも特徴で、1ℓと少しで推奨量100mgが摂れる。
ゴビのチーズは脱脂してから作られるため、生じて脂質が少ない。そのため長く保存しても比較的油焼けが少なく、味が劣化しにくいと思われる。
ちなみに脂肪分は「ウルム」という名のクリームとして食べられる。
肝臓と血液はビタミン・ミネラルの宝庫である。細かく切った肝臓と小麦粉を血液で練って腸に詰めて茹でて食べられる。

羊は、羊飼いに追われて自分の足でウランバートルの市場まで移動する。しかし、チーズや馬乳酒は人が運ばなくてはならない。これは道路や流通システムの整備が遅れていたモンゴルでは困難であった。冷凍可能な肉の方が保存が容易であることもあり、ウランバートルでは必然的に肉が豊富で安く、乳製品は品薄で高くなる。
遊牧民は「白い食べ物」から微量栄養素を摂取していたと考えられるが、ウランバートルではそうはいかない。町では子供たちの間で、ビタミンD欠乏による「くる病」などが多発しているという報告もある。

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