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常温保存可能な豆腐とその裏話(豆腐バカ)

食×健康

一般的な知名度は高くないと思われますが、2019年1月22日に、国内初のとある豆腐が販売されました。

<プレスリリース>
<商品紹介ページ>

この豆腐は何と常温保存が可能で、賞味期限は何と製造から195日です。しかも製造者は森永乳業さんです。乳業メーカーなので尚更驚きです。
この豆腐発売には長い長い経緯があり、それが 「豆腐バカ 世界に挑み続けた20年」(集英社文庫) という本にも言及されています。下記ではその内容も交えて紹介しています。

商品発売の法的背景

従来より日本国内においては、豆腐は冷蔵での販売が義務付けられていました。確かに、常温のスペースで販売されている豆腐を見たことがないですよね。

長らくその状況が続いていましたが、2014年に豆腐業界団体から厚生労働省に「豆腐の保存基準に係る告示の改正に関する要望書」が提出され、長きにわたり法改正の検討が進められてきました。

そして遂に2018年、豆腐の規格基準(厚生労働省)及び食品表示基準の一部(消費者庁)が改正され、 無菌充填豆腐の常温販売が解禁されました。

常温保存可能な豆腐は、規格基準上では「無菌充填豆腐」という種類に該当します。2018年の基準改正により、下記のように文言が修正されています。(一部抜粋)

3 豆腐の保存基準 
(1)豆腐は、冷蔵するか、又は十分に洗浄し、かつ、殺菌した水槽内において、冷水(食品製造用水に限る。)で絶えず換水をしながら保存しなければならない。ただし、移動販売に係る豆腐、成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐及び
無菌充填豆腐にあつては、この限りでない。

森永乳業と豆腐

森永乳業は乳業メーカーですが、実はかなり前から豆腐の製造・販売も行っています。
これは従来の牛乳宅配ルートを生かして豆腐も宅配出来ないかという試みに端を発しています。但し、当時の豆腐の消費期限は牛乳より短く、販売するには商品改良が必要でした。森永乳業は乳製品で培った無菌包装技術を豆腐に応用出来ないかと8年ほど試行錯誤を重ね、1977年に10か月間保存可能な無菌包装の豆腐の開発に成功しました。

ところが、大手メーカーが資本力・最新技術と販売網を駆使して豆腐の製造販売に乗り出せば、中小の豆腐製造業者はひとたまりもありません。そこで当時の全国豆腐商業組合連合会(豆腐メーカーの団体)が、無菌包装豆腐の国内販売中止を求める法案成立を国会に働きかけ、「中小企業分野調整法」(通称)という法律が成立しました。これにより無菌包装豆腐の販売は大幅に制限されることとなったのです。

豆腐の海外進出

国内での豆腐製造販売が困難になった森永乳業は、海外での豆腐販売を模索することとなり、1985年には米国ロサンゼルスに現地法人「Morinaga Nutritional Foods, Inc.」を設立します。この米国現地法人設立計画を立案・提議した雲田康夫さんという方が、当時の森永乳業社長に自ら現地責任者となることを命ぜられます。かつて米国で一番嫌いな食べ物ナンバーワンにも選ばれたこともある豆腐は、その後雲田氏の長きに渡る奮闘により、アメリカ人の食生活に浸透することとなります。

その雲田氏の奮闘記録が、冒頭で紹介した「豆腐バカ 世界に挑み続けた20年」(集英社文庫)です。後に雲田氏は「ミスター・トーフ」と呼ばれ、 2008年には日本食海外普及功労者として農林水産大臣賞を受賞しています。

森永乳業の悲願?

常温豆腐が今まで国内に流通していなかったのは法的規制によるもので、森永乳業が無菌包装の豆腐を開発したのは1977年のことです。規制が結果的に米国を始めとする海外市場の開拓にも繋がった点もあるとは思いますが、森永乳業にとっては40年越しの悲願だったと言えるのかもしれません。

森永乳業では1989年より宅配専用商品としてロングライフ豆腐を発売していますが、そのシリーズ商品を常温保存可能品として新発売することになります。これにより配送コストの削減(クール便の必要がなくなる)や災害用の備蓄になる(電気が止まっても保存可能)といったメリットが考えられます。

今回は宅配限定での販売(「中小企業分野調整法」の影響?)ではありますが、日本でも徐々に常温豆腐が浸透していくのかもしれませんね。

個人的には、常温保存可能な豆腐が将来的に海外の被災地や紛争地域にも届けられるようになればいいのになと思います。

<参考URL>
「森永 絹ごしとうふ」 「お料理向き 森永とうふ」 2019年1月22日(火)より全国にて新発売 | ニュースリリース | 森永乳業株式会社

常温保存の豆腐、販売OKに 非常用でも重宝?:朝日新聞デジタル
※常温保存豆腐の製造技術は高度らしく国内で製造可能なメーカーは限られますが、「さとの雪食品」も海外での常温保存豆腐の販売実績があり、今後国内での販売が想定されます。

中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律 – Wikipedia

<参考書籍>
豆腐バカ 世界に挑み続けた20年」(集英社文庫)
米国での豆腐市場開拓がいかに大変だったかがよく分かり、かつネタみたいな話のオンパレードで非常に面白い本です。この本を読んだ後で今回のプレスリリースを知ったので、ちょっと感動してしまいました。

本の概要は下記リンクでも少し紹介があります。
アメリカ進出 成功の秘訣6 森乳 雲田康夫 氏

↓NHKで特集ドキュメンタリーが放送されていたみたいですね…再放送絶賛希望です!
NHKドキュメンタリー – 逆・転・人・生「豆腐をアメリカに広めた男」

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